さて、詩集を読んでいると、だいたい「素敵だなぁ」という気持ちになるのですが、たまに「…ん?」と思うことがあります。
今回は、みなみがややあやしいと感じた、佐藤春夫さんの「少年の日」を、絵とともに紹介したいと思います。
「少年の日」 佐藤春夫
この詩は、【一~四】に分かれています。
一
野ゆき 山ゆき 海辺ゆき
真ひるの丘べ 花を敷き
つぶら瞳の君ゆえに
うれいは青し 空よりも
うむ、きれい。
テンポもいいです。
(イメージ図)
二
影おおき林をたどり
夢ふかきみ瞳を恋い
あたたかき真昼の丘べ
花を敷き、あわれ若き日。
花を敷いて、座ってるか寝転んでるかして、彼女のことを考えているのでしょう。
ここまでは、まあよしとします。
三
君が瞳は つぶらにて
君が心は 知りがたし。
君をはなれて 唯(ただ)ひとり
月夜の海に 石を投ぐ。
ん? 少し雲行きがあやしくなってきました。
月夜の海に石を投げるとは…ドラマみたいです。
なかなかのロマンチスト…というか、ナルシスト…?
(イメージ図)
月もちょっと困り顔。
四
君は夜な夜な 毛糸編む
銀の編み棒に 編む糸は
かぐろなる糸 あかき糸
そのランプ敷き 誰(た)がものぞ。
そのランプ敷き、誰がものぞ…。
やっぱり。
(イメージ図)
「君」が編んでいるランプ敷きが、誰のものなのかと心配しております…。
「君」のことを好きな少年の気持ちはわかりますが。
最後の『誰がものぞ』は、絶対本人に聞かないほうがいいよ。
心の中に留めておこう、うん。
ちょっと怖いから。
おわりに
佐藤春夫さん、『殉情詩集』でとても素敵な恋愛の詩を書いているようです。
「少年の日」は「一」のところが一番良いですね。「三」「四」にかけて雲行きがあやしくなります。
なにはともあれ、青春の詩でした!
ちなみに、絵はHPのENVYというパソコンで、タッチペンで描いています。
くだらないお絵かきは楽しいです。