みなみ風の吹く裏庭で。

旅行やグルメや好きなもの

福岡箱崎、放生会の『見世物小屋』体験記~昭和異世界が衝撃的だった。

福岡の三大祭りのひとつである筥崎宮の【放生会】。

その、名物でもある『見世物小屋』に初めて潜入しました!

 

今まで怖くて入ることができていなかった、見世物小屋の体験記です。

サーカス 見世物小屋

 見世物小屋とは。

見世物小屋(みせものごや)は、珍奇さや禍々しさ、猥雑さを売りにして、日常では見られない品や芸、獣や人間を見せる小屋掛けの興行である。

ウイキペディアより

 

戦国時代末期、盛り場や神社の境内で、小屋を作り、珍しいものや曲芸を見せ、入場料を取っていたのが、見世物小屋の始まり。

特に江戸時代から明治時代にかけて流行し、その後も形を変えながらも現代まで生き続けている。

 

具体的には、蛇食い女・目玉を出し入れする目玉小僧珍しい動物などを見せたり、おならで芸をしたりといった内容で、多種多様であったようだ。

 

珍奇(ちんき)、禍々しさ(まがまがしさ)、なんだか普段は使わないような言葉で、聞くだけでも奇妙な感じが、興味をそそる。 

しかし、身体障害のある者を見世物にする小屋もあったため、明治時代には良くないイメージもあったとのこと。

 

現代の見世物小屋は、怪しくも、誰もが嫌な気持ちにならずに楽しめるものに、変化していると思う。

f:id:minami-saya:20190915011611j:image

 

放生会の見世物小屋、外観

こちら、筥崎宮の放生会の見世物小屋。

「見世物まつり」と堂々と描かれた幕に、「大魔奇術ショー」「楽しいカッパ天国」などの旗が立っている。
f:id:minami-saya:20190915011552j:image

 

入り口には、ハチマキを巻いた呼び込みのおじさん。

口ひげを生やし、正しく胡散臭い

放生会 見世物小屋

柄の襟なしシャツとピンクのズボンもいい感じだ。

安そうな垂れ幕の質感と色も、イカしている。

 

垂れ幕に演目が書かれている。

・年頃の女たちによる唄と踊りと手品

・びっくり魔術奇術ショー

・発見・美少女生首

・目出度い曲芸伝統芸

数年前に撮っていた写真には、別の演目が書いてあったので、年によって変わったりするのだろう。 

 

入場料は、後払いで大人700円、小人500円、幼児300円だ。

放生会 見世物小屋 外観 カッパ

カッパ押しのコンセプトがよくわからないが、色味が懐かしさを醸し出す。

 

放生会の見世物小屋に潜入

※ネタバレありです!

これから行く方で、何も知らずに純粋に楽しみたい方は、ここで読むのをやめておいてくださいね~。

知って安心して入りたい、という方。ただ見世物小屋を知りたい方はどうぞ。

場内に入ると、そこはまさに異世界

天井には、頼りない木の梁と、ぶら下がった電球

ムラサキピンクがかった色の空気。

 

中原中也の「サーカス」を思い出した。

 

「サーカス」

 

幾時代かがありまして
  茶色い戦争ありました

幾時代かがありまして
  冬は疾風吹きました

幾時代かがありまして
  今夜此処ここでの殷盛さか
    今夜此処での一と殷盛り

サーカス小屋は高いはり
  そこに一つのブランコだ
見えるともないブランコだ

さかさに手を垂れて
  汚れ木綿の屋蓋やねのもと
ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん

それの近くの白い灯が
  安値やすいリボンと息を吐き

観客様はみな鰯
  咽喉のんどが鳴ります牡蠣殻かきがら
ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん


     屋外やぐわいは真ッくら くらくら
     夜は劫々こふこふと更けまする
     落下傘奴らくかがさめのノスタルヂアと
     ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん

 

青空文庫より引用。

 

頭の中で、ゆあーん ゆよーん… とつぶやく私。

客席は、床板が斜めになっていて、後ろの人も見えやすいような仕組み。満員だ。板の薄さを足の裏から感じる。

 

ピンクの光で、客席の人々まで、昭和感が出てしまっている。

 

舞台は非常に近く、女や男がショーを繰り広げている。

右から徐々に左へと流れていき、最後に料金を払うシステム

 

場内は撮影禁止なので、絵を描いた。

放生会 見世物小屋

ショーは、つねに繰り広げられており、少しずつ進んでいる内には、全て見ることができる。

 

最初に見たのは、「年頃の女」による踊りや手品

衝撃的な見た目だった。

メイクも、衣装も、レトロが爆発している。ダンスしている女性は3人いたが、なんと、全員ブラひもが出ている。これも多分、演出だと思う。

 

頭にはが咲いていたし、カーラーを付けた女性もいた。

放生会 見世物小屋 中の人

後ろには、おじさんが2人、音楽隊として演奏している。

キーボードのおじさんは、だらしなボディに丸メガネ。かなりいい味を出していた。

 

1人の女性がカッパの人形2体と棒で繋がった、あやつり人形ダンスは見ものだったし、3人の女性での懐かしい動きのダンスも、ノスタルジックな動きや音楽が堪らなかった。

ただ、「年頃」は過ぎている女も混じってはいた気がする。

 

次は、着物女性が燃えるろうそくから蝋を口の中に垂らして、火を噴くショー

椎名林檎似で、美人だったのが良かった。

 

生首の女性が、“ぴゅるぴゅる”(正式名称が分からない)を吹いたり、はげたツインテールのおじさんが出てきたりした。

放生会 見世物小屋 演目

 ショーは他にもあったが、だいたいこんなところだ。

異様な空間に、何度も友人と目を合わせた。

 

舞台の幕には、「痺れ ポンチ 夢世界」と書かれていた。

 

時間にして、15分位か……。

ぼうっとしていてよくわからないが、幾ばくかの時間が、不思議なショーと共に過ぎ去った。

 

 

おわりに

とにかく、異世界へいざなわれた感覚。

昭和の煌びやかさと怪しさを、煮詰めたような空間であった。

 

筥崎宮の放生会で繰り広げられていたこの見世物小屋。

行っているのは、どうやら『デリシャススウィートス』という“雑芸レヴュー団”らしい。

https://derisya.net/

 

「レヴュー」とは、大衆娯楽演芸のことらしい。

 

「入るのが怖い、けど、どんなショーが行われているのか気になる」という方。

おびえなくでも大丈夫です!

怖がりな私でも、楽しめました!

ぜひ、昭和レトロな世界に、足を一歩踏み入れてください。

ハマるかもしれません(*´з`)

 

ーーーーーー

 【福岡お祭り】筥崎宮の放生会についてはこちら。

www.minamiuraniwa.com